上越国境周辺 無黒山 (1049.8m) 2010年4月16日

所要時間 5:18 県道−−5:20 林道始点−−5:25 除雪作業終点−−5:31 小屋−−5:48 堰堤−−6:03 尾根取付−−6:19 770m肩−−6:58 無黒山−−7:14 770m肩−−7:20 西谷後沢−−7:50 林道始点−−7:51 県道

概要
 西谷後沢より南東尾根を登る。尾根取付付近までなぜか足跡があったが尾根上はカモシカの足跡のみ。気温が高く雪質悪くて登りは苦労。標高780mまでは急な尾根で肩を越えると歩きやすい尾根になる。雪庇を回り込んで山頂に立つ。地面より数m高く遮るもののない大展望が楽しめた


 巻機山東部ピストン下山後の翌日、せっかくここまで来たのだからどこか適当なところを登ろうと当初から考えていた。ほぼ体力を使い果たしているはずなので軽い山しか登れないことは想像に難くなく、計画段階から周囲に軽い山が無いか探していたところ、登川を挟んだ反対側に無黒山があることに気付いた。ここなら清水から標高差約500m、アプローチも近い。おまけに登川を渡る車道があって橋がかかっているはずで対岸を渡る心配が無い。ロクロ沢にも橋があり、西谷後沢は上流に行けばいくほど雪に埋もれている確率は高いだろうから渡渉の心配はほとんどいらないだろう。この車道を使う関係で、登る尾根は山頂から南東に下るものにした。少し傾斜がきつそうで疲れた足には堪えるだろうが時間はたっぷりある。のんびり登ればいいだろう。

 木曜の天気予報では土曜日の新潟の予報は曇り。金曜夜の時点の予報では曇りだが昼前から雨、場所によっては朝から雷を伴うと言うなんだか分からない状況だが、結論からいえば良くない。でも無黒山ならそこそこ短時間で登れそうだし、本格的に天候が悪かったら車からちょこっと歩くだけで登れる山に変更してもいい。

県道から僅かに入った駐車余地 旅館までの道は除雪済み

 早朝、起床して空を見上げると星が出ており、夜が明けると一面の青空だった。予報では寒冷前線の通過に伴って大気の状態が不安定となり所により雨が降るとのことだが、少なくとも中越ではもうしばらく天候が持ちそうだ。どうも南や西から天気が悪化しているようだ。予定通り無黒山を目指す。

林道入口。一応除雪はしてあるが未完成 登川を渡る橋
登川。この水量では橋が無いと渡れない 除雪終点後は足跡が続く

 車を置いた場所は県道から僅かに入ったところで、この先の民宿まで除雪されているが目的の林道はまだ除雪作業が始まったばかりのようで一応重機でそれなりの除雪はされているが路面が完全に出た状態ではなく、まだ車での走行は不可能な状態だった。まあ、これは想定していたことだが。重機が踏んづけた雪なので歩いても沈まないのは助かり、橋を渡って対岸へ到達して間もなく除雪が終了。しかし雪に埋もれた林道の続きには複数の足跡が続いていた。除雪作業の偵察だろうか? 周囲は杉の植林で気温が高くさかんに花粉を飛ばしているようで、マスクをしても隙間から入るのか鼻水が出て眼はかゆみを通り越して痛いくらいだ。こんな場所で杉があるのも困りものだ。

ロクロ沢手前で小屋あり ロクロ沢の橋。沢も雪に埋もれる
西谷後沢右岸沿いを歩く 堰堤は右岸側を越える

 杉木立の中に隙間があるので林道の位置は分かり、その上に延々と足跡が続いている。まあ、一面の雪原なのでわざわざ雪に埋もれた林道を歩く必要はないのだが。気温が高くてズボズボ潜り、スノーシューを装着しても沈む。それに僅かながら上り坂で昨日の疲労も相まって最初からグロッキー気味だ。これで標高がほとんど稼げないのだから精神的に疲れる。花粉地獄の杉林を抜けて広い河原のような雪原に足跡が続き、やがて堰堤が現れる。足跡は西谷後沢を離れて直進方向の支流に向かうのかと思いきや、意外にも堰堤の先で右に曲がって河原に下っていたが、雪の下に林道があるのかどうかは分からない。

堰堤後も足跡は西谷後沢に続く 目的の尾根に取り付く

 やがて取り付く予定の尾根が目前に迫り、その先には堰堤があったので本流をそのまま行きすぎることはない。足跡はこの堰堤手前まで続いていて、斜面に生えた杉の周囲で終わっていた。右手の谷は一面雪が付いた斜面でスキーに最適と思われ、DJFが見たら涎をたらしそうだ(下品な表現ですいません)。

 ここでようやく本格的な登りが始まる。最初のうちは尾根というより広い斜面でしかも傾斜は急で、緩んだ雪で登りは苦労しそうだ。ここまでザックにくくりつけていたピッケルを手に持ち直した。この雪質ではずり落ちるだろうからピッケルも動員する場面があると判断したからだ。案の定、斜面に取り付いて登りだすと緩んだ雪が体重を支えきれず、表面の10cmくらいの層とともに体がずり落ちることも多く、疲れるがキックステップでスノーシューを雪に蹴り込み、それでもずり落ちそうになるとピッケルの出番だ。花粉満載の杉をできるだけ避けつつ雪の段差を避けてルート取りする。

写真では分からないが結構な傾斜 780m肩で傾斜が緩む
尾根上にもクラックあり カモシカの足跡

 標高780m肩の手前で杉の植林が終わりブナの自然林に変わり花粉が減少、肩を越えて傾斜が緩むと雪質は相変わらずだがずり落ちることが無くなって格段に歩きやすくなった。雪の上にあるのはカモシカの足跡とヤマドリらしき足跡のみ。当然だが人間の足跡は無い。そういえば今シーズンはまだ熊の足跡を見てないなぁ。この気温なら間違いなく冬眠から目覚めていると思うのだが。

標高1000m尾根合流の雪庇 雪庇の段差から上に出る
無黒山方向。雪庇が続く 1050m峰方向。こちらも雪庇が続く

 標高1000mで東西方向に延びる尾根に合流し、ここには雪庇ができていて垂直の雪壁を下から登ることになるが、この時期になると雪解けが進んでいて雪壁の一部が崩れて簡単に上部に出られるようになっていた。ここまでくると無黒山の山頂が間近に見える。ここから山頂まではずっと雪庇が続きその上を歩いてく。周囲はブナの純林で雪深さを物語っている。

無黒山山頂直下の雪壁。右を迂回 無黒山山頂。背景は巻機山
無黒山から西を見る 無黒山から南東を見る
無黒山から見た上越国境(クリックで拡大)

 山頂直下は大きな雪庇が形成され、これまた垂直の壁だ。ここは登ることができないので右に迂回し、雪庇が消えたところで上部に移り、最高点に到着。ここは雪庇上なので地面より数m上だと思われる。すぐ近くには立ち木が無く展望は360度、大展望だ。雪庇が溶けて高さが減るとブナに邪魔されてこの展望は楽しめないだろう。この時間でも天候の崩れは皆無で好天が続いている。この分だと今日の巻機山も山スキーヤーがいるかもしれない。今日は桜坂駐車場まで車で入れているだろうな。

 雪庇付近には立ち木は無いため、雪庇から下った場所の木にテープを付けた。そういえば山頂もそうだが途中にも目印の類には気づかなかったな。それだけマイナーな山ということだろう。帰ってからネットで検索をかけたが、ちょこっと見た範囲ではまともな記録は1件だけだった。

1000m尾根合流から下る 標高780m肩から下る
西谷後沢に出た 林道始点に戻る

 下山も同一ルートを戻る。雪に埋もれた林道に出たら往路に私が付けたスノーシューの上に新たに足跡が乗っていたが、どこに行ったのだろうか。除雪作業の関連かと思ったが昨日の除雪現場に到着しても重機の姿は無く、車に戻っても工事車両は見当たらなかった。まだ時刻が早いからか、それとも土曜日は休業なのか。

 

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